海図の裏紙

我が身に降りかかってきたことをつらつら書きます。

就活ハックの話

東京の大学に通っているのに地方から上京して就活という、意味のわからんことをしていた。本当に意味がわからんかった。
ただ、その分「上京就活がいかにハンデにまみれたものか」を痛感することができた。忘れないうちに、就活全般の話を含めながら、私なりの乗り切り方を書き留めておこうと思う。
(2021.8.25 一部加筆)

 

就活の格好を揃える

バカ正直に全部買ってたらお金がもったいない。真っ黒のスーツに真っ白のワイシャツなんて、社会人になったら使わないだろうし。

リクルートスーツは借りるもの

ペラッペラのリクルートスーツ(以下リクスー)、どうせ一年しか着ないし、そもそも生地が着用⇋クリーニングの繰り返しに耐え得るものではないので、買うだけお金の無駄。あとどうやら男物のほうがバカに高いらしい。というわけで借りましょう

ベストなのは、体型がそっくりな一学年上の知り合いから譲り受けること。ただ、そんなケースは稀なので、民間のそういうレンタルサービスを使うのがベターなところ。

最近は大手量販店がリクスーのレンタルサービスを始めたことが報道されていたけれど、バッチリお金を取られる(し、私がM1の頃はまだリリース前だった)

私はどうしていたかというと、カリクルを使ってました。

完全無料でリクスーが借りられるサービス。神なのでは????
どういう仕組みで回っているかというと、協力企業がバックにいて、学生はリクスーを借りる代わりに運営会社(C-mindという人材系ベンチャー)に就活相談ができて、その学生を必要に応じて運営会社が協力企業とつないでいるらしい。

私が借り始めた頃は試着会場が東京にしかなかったけど、今は全国のSUIT SELECT店舗で採寸・レンタルが可能らしい。但し、サービス全体でレンタル数に限りがあることと、裾上げ以外の微調整は効かないこと、汚損・破損・紛失の場合は普通に弁償になることに注意。

一着目にレンタルはおすすめしない、というネットの意見も散見されるが、私はカリクルのリクスーを一着目としてガンガン使っていて、何の問題もなかった。あと、借用期間中に休学が発生して、「もう一年お借りしてもよいでしょうか……」と連絡したところ、借用期間を延長してもらえた。感謝しかない。

ワイシャツ・ネクタイはできるだけ安く買う

こんなところに大手量販店の学割クーポンが転がっている。これに加えて、ORIHICAも学生であれば2割引で購入することができる。

小物と云えど5,000円の2割は1,000円、結構ばかにならない。但し、安いネクタイはよれやすいので、しっかりめの生地のネクタイは一本持っておいたほうが心強い。

就活バッグはわざわざ買わなくてもOK

私は塾講師アルバイトのために購入したビジネスバッグで何とかなった。派手なものは無論NGだが、真っ黒なビジネスバッグも社会人になったら出番のないもの。

それでも不安なら、リサイクルショップやフリマ・オークションあたりで安く手に入れるのが良いと思う。

本選考解禁直前に一旦リクスーはクリーニングへ!

インターンシップへの参加が重なるだけでも、リクスーは結構くたびれる。気がつかないうちに、背中やズボンの裾にシワが……というのは、私の経験上の話。

2月第3週に差し掛かるあたりで、一度リクスーをクリーニングへ出すことをおすすめしたい。丸ごと洗えるリクスーなら自分で洗ってアイロンがけでもよいのだが、私は住まいにアイロンがなかったのと、自分で丸ごと洗っても大丈夫な自信もなかった。

 

エントリーシート(ES)を書く

選考の最初の段階でもあるES。面接やWebテストと違って、事前対策が万全にできる。できるなら対策をしよう。

ONE CAREERでヒントを得る

過年度の選考を通過したESを見ることができるサービス。学生は無料で登録できる。

どんなこと書けばいいかも分からん……という場合は、ここに上がっているESを参考にすると、多少のインプットになる。

当然のことながら、パクりは厳禁。手垢のついていない自分の言葉で述べることもひとつのコツ。

三者に添削してもらう

万人に伝わる文章を書くというのは、ガチで「書くこと」で飯を食っている人以外にとっては至難の業。読み手の読み方や感じ方が千差万別だからだ。

ではどうすればよいか。誰でも良いので、第三者に添削してもらえば、少しは伝わる読み手を増やすことができる。

とはいえ、この手の添削は結構頼みづらいと思う。私が添削をお願いしていた人は主に三パターン。
①国語の指導経験が豊富な腐れ縁の親友
en-courageのメンター達
③応募企業の同業他社の社員をしている同級生

あとは通っている大学のキャリアセンター都道府県で設置されているジョブカフェ、先述のカリクル、静岡の学生さんであればScareer,などなど。頼れる組織や人はどんどん頼ろう。自分の将来がかかっているのだから。

とはいえ、人に時間のかかる物事を頼むのは、やっぱり申し訳ない気持ちになる。私もなった。
なので私は、志望度の低い企業のESは添削を通さずに、一晩寝かせて自分で添削したり、頼む人も複数人に分散させたりしていた。あとは、ESも本数が増えてくると内容がテンプレ化してくるので、ちょっとずつ表現を変えながら使い回していたり。

ちなみに②に出てくるen-courageは、メンターのいる大学に偏りがある(いわゆる上位大学)。頼れない場合は割り切って他の手段を当たろう。もし自分の通う大学にエンカレのメンターがいれば、面接対策なんかもやってくれるはずなので、ガンガン使うべし。
 

余談だが、私は逆に面接対策を(ほぼ)しなかった。理由は簡単で、企業・団体によって聞かれることに幅がありすぎて、対策のしようがないと思ったから。
但し、聞かれたことに対しては「結論ファーストで」「一分以内で簡潔に」答えるよう心掛けていた。一朝一夕でできるようになるものではない(実際最後までできなかった)ため、場数は踏んだほうがいい。

 

エントリーシート(ES)を郵送する

今時ESはほとんどがマイページ上での提出だが、一部の企業・団体ではESを郵送するよう求められる。そのあたりのノウハウは、教えてもらわないと全然わからないのが事実。

企業側からしたら数百もいる応募学生の郵送物そのものにいちいち目なんぞ通していないかもしれないが、書類を郵送するときの社会的なマナーが多く含まれているので、これを機に体得するのが吉。

添え状を用意しよう

添え状とは、「ちわっす!オンシャの新卒採用に応募するから書類送るよ!中身は○○と△△なので確認してくれよな!よろしく頼む!」という内容を書いたペライチのこと。

当然、文体は常識程度の社会性を含ませておく必要がある。詳しいことはここを見れば大体わかる。

クリアファイルと白封筒

せっかく何度も書き直して綺麗に書き上げた履歴書も、郵送の途中で折れ目がついたりしたらもったいない。ある程度重要な書類は、クリアファイルに入れるのがおすすめ。

クリアファイルに入れた書類は、添え状を一番上にして白い角型2号封筒に入れる(A4ファイルがすっぽり入る)。売っている文房具店が限られてしまうが、大学生協売店に行けば封筒内側に地紋の入ったものがほぼ確実に売られているので、これを買うのがおすすめ。

 

封筒に書くべきこと

表面に郵便番号・宛先(御中忘れずに)左下に赤字囲いで「応募書類在中、裏面に自分の所属(大学名・学部/研究科名)・自宅住所(郵便番号も)・自分の名前・郵送日を書き、内容物を入れて封をしたら閉じた部分に「〆」を書いておく。ちなみに封筒は雨に濡れる可能性があるので、これらは耐水インクのペンで書くことをおすすめする。私は1.0mmのドローイングペンを使っていた。

字に自信がなければ、裏紙に一度か二度試し書きをすると良い。

特定記録郵便で送ろう

日本の郵便は、普通郵便でも途中でロストすることはほぼない。とはいえ、応募した企業から「君の応募書類?受け取ってないよ???wwww」などと言われることがあるかもしれない(多分ないが)

そこで、送る郵便に特定記録をつけておく。郵便料金に160円上乗せすることで、送り主・送り先・追跡番号の入った受領証(レシート)がもらえる。郵便局の窓口から発送する手間はかかるが、これでトラブルを回避できる。

速達や書留郵便は送り先に手渡しの手間をかけてしまう。特定記録郵便なら送り先の郵便受けに入るだけで、普通の郵便と何ら変わらない。

 

就活ノートはバインダー+ルーズリーフがおすすめ

就活ノートの重要性は正直言うまでもないと思うが、企業ごとにごちゃごちゃしてしまうのは結構あるあるだと思う。私はインターンシップや説明会のときに、クリップボードに挟んでルーズリーフにメモを取ったり私感を書いたりして、企業ごとに整理してバインダーへ格納し、祈られたらクリアファイルへ移動させて供養していた。
クリップボードにルーズリーフを挟んでメモると、オンラインの場合上手い具合にカメラの死角ギリギリが狙えるので、カメラから目線を外さずにメモが取れる利点もある。

 

上京・長距離移動のコツ

上京就活の難所のひとつ。就活にもオンライン選考が浸透したので、闇雲に移動を強いられることは減ったように思うが、依然として知恵も必要な部分だと思う。

お金を取るか、時間と体力を取るか

私はちょうど就活の直前と最中に身体をぶち壊したので、東京との往来で安い手段を"往復で"使うことは原則しなかった。多かったのは「行きは新幹線、帰りは鈍行or高速バス」というパターン。東京での選考には体力を温存しておきたかったし、自室に帰れば愛すべき自分のベッドが待っていた。あと、個人的に新幹線で瞬間移動するのが嫌いだったことや、帰りの鈍行電車は時間がかかるので、その時間にradikoのタイムフリーを楽しみたかったというのもある。

このあたりは、人によりけりだと思う。体力のある人は往復で鈍行や高速バスを使ってもいいし、お金に余裕がある/時間がないなら往復で新幹線でも良いでしょう。自分の良い塩梅は自分で見つけるしかない。

学割証は少し多めに常備しておく

いつどこに行くことになるか分からないのが、地方学生の就活の特徴でもあると思う。さすがに「明日の朝10時に大手町へ来てください」みたいなことは経験しなかったが、いざという時に学割証が手元にあると何かと助かる。

学割証は用意できるときに用意し、財布の中に常備しておこう。但し、学割証には発行日から3ヶ月の有効期限がある上に、学生数の少ない大学では発行枚数に制限がかかったり発行に日数がかかったりするので要注意*1

乗車券を分割して運賃を浮かす

JRの乗車券は、ある駅で分割して買ったほうが安いケースが多い。
仮に学割が利用できる条件だとすると、

静岡→東京(東京山手線内):2,720円
静岡→鶴見+鶴見→蒲田+蒲田→東京:2,500円(差額220円)

浜松→東京(東京都区内):3,600円
浜松→東田子の浦+東田子の浦→東京(東京山手線内):3,420円(差額180円)

名古屋(名古屋市内)→東京(東京都区内):5,100円
名古屋(名古屋市内)→川崎(横浜市内)+川崎→東京:4,880円(差額220円)

という具合の情報が、下記ページから検索可能。

ちなみに、並行する在来線の区間が連続する乗車券であれば、特急券を被せて同区間で新幹線に乗ることも可能だ(逆もOK)。但し、乗車券は3枚以上になると新幹線の自動改札でシステムエラーになるので、その場合は有人改札を通る必要がある。

飛行機なら当日の空席を狙うのも一手

25歳以下が飛行機を使う場合、当日に空港に行ってみて搭乗したい便に空席があれば、安く乗れるチャンスだ。JALではスカイメイトANAではスマートU25というサービスが該当する。

コロナ禍であれば満席ということは少ないので割と狙い目だと思うが、空席があるかないかは賭けでもあるので、事前にスケジュールが分かっていれば早めに席を押さえるに越したことはない。また、ANAのスマートU25を利用する場合は、事前にマイレージクラブに入会する必要がある。

 

上京就活は常にイレギュラーである。道中の忘れ物には十分気を付けられたし。

 

大都市での移動と宿泊

上京就活のもうひとつの難所。一都三県の実家から通っている勢と比較したら、定期券も無ェ寝床も無ェ、駅ナカ迷路をぐーるぐる。ディスアドばかりで嫌になっちゃうね。

地下鉄移動はフリーパスを買う

4回くらい乗れば元が取れるフリーパスが、地下鉄各社から600円前後で発売されている。券売機を適当に叩けば買える、金券屋ならちょっとだけ安く買える。

f:id:mihirope:20210809214930j:plain

上の二枚が東京メトロの24時間券。文字通り、東京メトロの路線であれば、最初に改札を通した時間から24時間乗り放題。但し"都営地下鉄"には乗れないので要注意。

下は名古屋市営地下鉄&バスの土休日フリーパス。こちらは、券売機で買った場合はその日しか使えないので要注意。平日も使えるフリーパスはもう少し高かった気がする。

こいつがあれば「どの駅のコインロッカーに荷物を預けるのが良かろうか……」とか「中途半端な時間が空いたけど、気になっているあの書店/喫茶店に行くには交通費が……」とか、そういう雑念が全て消える。雑念が消えると、慣れない土地でやりがちな大事な判断を誤ることも減る(これが大きい)

レンタサイクルを使う

多少身軽なら、レンタサイクルを使うのもおすすめ。地下鉄だと遠回りな経路をショートカットできたり、ターミナル駅を回避できたり、新鮮な風景を楽しみながらペダルを漕いで気分転換できたりと、メリットはいろいろある。

以下、東京都心で使えるサービスを中心に簡単に紹介する。

①ドコモ・バイクシェア

NTTドコモの回線を契約していなくても利用可能。赤い電動自転車が特徴。都内在住・在勤でなくても登録可能。11区でサービスを展開しており(2021.8.9現在)、何の縁もなかろうと、どの区で登録してもOK。

支払いは原則クレカ(デビットNG)。利用料は最初の30分が165円で、以降30分ごとに110円ずつ加算される。

②HELLO CYCLING

ドコモよりも後発のサービス。地方都市でも展開しているので、既にサービスに登録している人は意外と多いかもしれない。こちらも支払いは原則クレカ(デビットOK)。利用料は15分ごとに70円なので、45分を超える利用だとドコモのほうが安くなる。

いずれのサービスも、手持ちの交通系ICカードを鍵として紐づけておくと、乗るときに楽。自転車を借りるときは、タイヤに空気が入っているか、バッテリーの充電に余裕があるかを確かめてから借りるのを忘れずに。東京は坂道が多いので、バッテリーが切れると大変なことになります。

あと、東京のレンタサイクルはサービス開始から年数がそれなりに経過しているので、駆動部がへたっているケースが多い。あまり期待しすぎないように。

(番外編)LUUP

電動キックボードのレンタルサービス。まだまだ展開エリアは狭く、私も使ったことがないのだが、良くも悪くもペダルを漕ぐ体力を使わないのは楽でいいかもしれない。

但し、原付免許か普通自動車免許の取得が必須。ヘルメットの着用は不要だが、原付と違って所詮キックボードなので、うっかり幹線道路に入らないよう注意。

なるべく安く泊まるか、体力を温存するか

なんかさっきもこの話した気がするな。安く泊まる方法は以下のふたつ。
①東京近郊の知り合いの家に泊まる
②安心お宿の就活生向け宿泊サービスを利用する

安心お宿とはいわゆるカプセルホテルなのだが、宿泊が必要な就活生に対して無料で宿泊させてくれるサービスを展開している。施設によってはカプセルの上下をぶち抜いて作ったデスクワーク用の空間や浴場までついている。しかも、先述のカリクルを使っていると軽食サービスまであずかれてしまう。神の連携プレイか???

欠点としては、やっぱりカプセルホテルなので体力も精神力もフルリカバリーできる人とそうでない人に分かれる。あと私が利用したときは、就活ではなく旅行で(しかも複数名で)来ている学生が結構いたのがちょっと気になった。

なので、連泊する人は知り合いの家や安心お宿を使い続けるというより、前後半に分けてビジネスホテルの個室を併用するのが賢いかな、というのが私の感想。

泊まらないのもひとつの選択肢

東京から200kmくらいの距離に住んでいるなら、用事が連続しない場合は一日でとんぼ返りするのも一手だと思う。一泊して安い手段で帰るのと、泊まらずに高い手段で帰るのがさほど変わらないからだ。それなら泊まりの荷物を抱えずに済むほうを選ぶのも賢い選択だと思う。

 

さいごに

巷には上京就活に挑む学生のために、ギルドハウスを提供しているような企業もあるが、私はそういったものを利用せずに上京就活を乗り切れた。もちろんその分のお金はかかるけど、自分のキャリアくらい自分で納得して決めたいというこだわりがあった。

あと、ファーストキャリアを決めるにあたっては、なるべくいろいろな人の話を聞いたほうがいい。結局ここに書き連ねたのも、全て私ひとりの経験譚でしかない。

私自身も就職を一年遅らせたことによって、自分がどういう人間で、これまで何をして何を感じたかを振り返り、これからどういうキャリアを積み上げていきたいのかを考えて、手広く情報を集めるだけの時間と機会を得ることができた。

就活中は逆風が吹き荒んでどうなることかとは思ったが、結果的にものすごく納得できる就活の締めとなった。こんなクソバカ長文駄文を最後まで読んでくれた未来の就活生にも、信じると納得するに足る就活ができますよう。

*1:これも余談なのだが、ペーパーレスが浸透しつつある現代においても、学割は学割証という紙切れがないと利用できない。もっと言うと、学割は大学ごと学生数に応じて日本学生支援機構が配当しているため、配当の少ない単科大学などは一人あたりの年間発行枚数に上限があるケースも多い。弊学も11枚目以降(大学院生は12枚目以降)は自動発行機で発行できず、わざわざ教務課に出向き、手動で発行してもらう必要があった。教務課も慣れない事務作業であり、赤い割印のところに間違って黒い封緘印を押されたこともあった。
大学ごとに受けられる待遇に差が生じるのは間違いなく不公平。ペーパーレス化とともに、そういった制限も廃していただきたい所存である。