海図の裏紙

我が身に降りかかってきたことをつらつら書きます。

伊豆諸島で転地療養した話② 神津島上陸~天上山

前回までのあらすじはこちらから。

神津島上陸

船舶交代から復帰したてのさるびあ丸で、神津島・前浜港に上陸。そのままフェリーターミナルにある観光協会の窓口で、予約していた民宿の宿泊代金を支払い、民宿へ直行。
荷物を置かせてもらい、宿のご主人のご厚意で、そのまま黒島登山口まで車に乗せてもらった。

 

ちなみに、神津島の多くの民宿は観光協会のホームページがワンストップの予約窓口になっているが、一部の宿泊施設は直接電話や専用予約フォームからの予約になる(例:GUEST HOUSE テラマチなど)。季節民宿含め、現時点で営業の保証されている宿泊施設の一覧はこちらから。

 

アクティビティ・天上山トレッキング

急な西斜面をつづら状に登っていくコース。
比較的低い植生のため、常に村落を下に見ながら登っていく。

あんまり自生の松って見たことなかったかもしれない。

 

登りきると、黒島展望台・千代池・裏砂漠への近道の3本の道がある…………はずなのだが、轍が草に隠れてしまっており、ひとりで進むには心もとない。最もそれらしい道である千代池の方角へ一旦降りるのが安全だと思われた。

 

誰かが彫刻石を切り出したのではないかと思うようなフォルムの岩々が並ぶ。

 

上から見た裏砂漠。写真の右手から中央奥へと進む。

 

風はなく、足を止めれば、耳鳴りも黙るほどの無音に身を包まれる。
壮大な光景を目の当たりにしているはずだが、脳内のどんな音も呼び起こされず、ただその贅沢な静寂を味わうのみであった。

 

裏砂漠展望地から。真っ正面に見えるのが三宅島。
2000年から、足掛け5年間の全島避難を強いられた島である。

 

南天(?)。庭先の植木でしか見たことがなかった。

 

カラスが見つめる先にいるのがフェリーあぜりあ。島で「下田船」と呼ばれる通り、伊豆半島下田港から、利島・新島・式根島神津島を巡行する。
伊豆諸島唯一のカーフェリーだが、岸壁の高さとフェリーの高さが合わないことがあるようで、必ずしも車輛が輸送できるということでもないらしい。また、下田発の便は朝が早いので、島の方々は乗るインセンティブに乏しい様子がうかがえる。

 

ただ、カーフェリーにしては小振りなフォルムが独特で愛らしく、一度は機会をつくって乗ってみたいような気もする。

 

このわずかな地表のひだ一つひとつにも固有の生態環境があると思うと、自然環境にとどまらずローカルな生態ってどこまでも探り甲斐のある分野なのかもしれない……と、ふと思ったりもした。

 

確か天空の丘からの風景。
左手前が式根島、その右奥が新島。さらに左奥の円錐型が利島。

 

表砂漠。裏砂漠ほどではないが、ここもやはり無風である。
こういった砂地に染み込んだ雨水は地下水へと形を変え、神津島の村落を潤してきた。

 

その壮大さは、写真で伝えることは不可能だと学んだ。

 

白島下山口から村落まで下りた。9.5kmを4時間で踏破。歩数は15210歩。

 

リラックス・神津島温泉保養センター

民宿に戻り、再び宿のご厚意にあずかり、温泉保養センターへ向かった。

見事に写真を撮り忘れたので、リンクだけ。

温泉“保養”センター、である。言うまでもなく、療養には当然うってつけである。

露天風呂の使用ができないため、通常よりも安い400円で入浴が可能。
中には洗面の一角と、ぬるめの湯舟・気泡浴の湯舟・少し熱めの湯舟と、サウナと水風呂、それから涼み場が整備されている。

 

三月の初旬とはいえ、天上山の植物は腰ほどの丈しかなく、砂地では容赦なく太陽光が照り返すため、汗だくの身体にお湯がよく沁みた。日焼け止めも怠ったため、首の後ろや腕の表はヒリヒリと沁みた。

 

温泉保養センターに停まるバスは一日上下4本ずつしかなく、赤崎遊歩道で折り返す同一便は25分で戻ってきてしまうため、夕方に行く場合は高確率で村落までの徒歩となる。

帰り道は徒歩40分ほど。夕方の凪が気持ちよかった。

 

本編③へつづく。